メンフィスは、60-70年代の南部ソウルのメッカ。
その当時の関係者の多くが鬼籍に入ったが、
まだ存命のミュージシャンが、新しい世代と交流しセッションをする。
スタックスの60年代を中心に、ハイレーベルなどのエピソードを絡めて、
かつての記憶をたどりつつ、新世代とのセッションや交流の様子を見せる。
ヒップホップ世代とブラックミュージックの源流を交わらせる。
セッションは10に及び、有名参加ミュージシャンは、テレンス・ハワード/メイヴィス・ステイプルズ/スヌープ・ドッグ/ ブッカーT.ジョーンズ/ホッジズ・ブラザーズ(ハイ・リズム)/ ウィリアム・ベル/チャールズ・スキップ・ピッツ/デニス・グラハム/チャーリー・マッスルホワイト/ボビー・ブルー・ブランド/リルPナット/オーティス・クレイ。
中にはこれが最後のセッションになった参加者も多い。マッスルホワイトやBBブランド、アル・ベル、オーティス・クレイ、ホッジズ・ブラザーズなどは特に現在の様子を観れるのは貴重。
見応えはあるけど、もっと話を聞きたい関係者も思い浮かぶ。スティーブ・クロッパーや撮影時まだ元気だったろうダック・ダンなど。
あと10年早ければ、あの人もこの人も話を聞けたろう、という人もいる。姉弟でSTAXのレーベルオーナーだった姉のエステル・アクストンなど。後期の社長のアル・ベルの記憶はどちらかというと黄金時代の後の話だと思う。
当時の音楽よりも、現在のセッションがメインであり、ラップ/ヒップホップとの融合も多い。そうするとリズムが大分現代的にアレンジされていたりして当時のリズム感とはだいぶ違う。古い曲をベースに、新しいリズムで、という趣向なので、音楽的にちょっと違うと思う人もいるかもしれないが、そこはまあしょうがないと思って観るしかない。
ラップが好きな人は最後にスヌープのセッションが待ってる。スヌープは大分メンフィス音楽が好きらしく、人柄も落ち着いていて、よく知らない世代やメンフィスファンが見ていても、安心できる。
ハイレーベルのホッジズ・ブラザーズのティーニーも最後のセッション。伝説的な存在の最後。マッスルホワイトは深い声とブルースハープがカッコよく、穏やかな人柄も素敵だった。
シネマカリテのマッスルショールズに続き、そばのケイズシネマでこの映画が観れた。こういう音楽映画はなかなか上映されないので、とてもありがたい。できればアトラティックレコードの名プロデューサー(アレサからノラ・ジョーンズまで!)
の伝記映画も映画館で観たい!