作家だったり、建築家だったり、絵描きだったりする坂口恭平。
シンガーソングライターでもある。
全体に素人っぽいかもしれないけど、ギターのアレンジも達者なものだし、
コードも歌メロも、素朴なようでいて微妙な線をついてきたりする。
何かがふらっと落ちていくような瞬間をうまく作っていて、そこが気持ちいい。
そしてライブ的に録ったような録音がいい。
作品的に凝った録音ではなく、記録的録音という感じだ。
ミスタッチもそのままで、生々しくて、素朴で、その分音楽そのもの存在感が大きい。
歌詞もこれ見ようがしな派手なものではなく、俳句的描写の世界だ。
それがこちらに少しずつ、染み込んで降り積もっていく。
ぜひ一度聴いてみてほしい。
なんとなく、プロ中のプロたちが作った音楽よりも、
素朴なものを聴きたいときがある。
自然の中の音だったり、道を行く子供の歌だったり。
そういう時に聴きたくなるような曲。
そしてそういう時代が来るのかなという気もする。