もう、25年ほど前の日本テレビの深夜番組「大人のにほへ」を思い出した。
多分蛭子能収さんが初めてテレビのバラエティーレギュラーになった番組ではないかと思う。
伊東家(番組でなく、本当の伊東家)にあるピアノを
所ジョージがもらい受けるというので、
所がトラックに乗って伊東家に向かってやってくるところを、
伊東四朗が「所ジョージがやってる、伊東家にピアノを取りにやってくる」
とナレーションを入れながら撮影したビデオテープが存在する、
というエピソードがなんともいい話だった。
もっともこの話自体は、伊東四朗が後にラジオで語っていたのかもしれないが、
二人の関係の良好さを示していると思う。
所は山瀬まみも頭の回転が良いということを認めていたようだった。
しかし空気の読めない蛭子さんの事は徹底的に嫌っているのが伝わってきた。
蛭子さんが何か言えば、冷たくあしらう。
蛭子さんもたじたじで、所ジョージが苦手という感じが顔に出ている。
のんびりぼんやりした番組だったけど、その部分だけ空気がヒンヤリして
ちょっとドキッとするくらいだった。
所ジョージの本質には、冷たくサディスティックな部分があると思う。
それが「キロン」と冷ややかに光る感じが怖い。
その後、何かの番組で蛭子さんは
「所さんは都会的なので、自分みたいなタイプは嫌いだと思う」
と語っていた。
所ジョージが蛭子さんについて話しているのは見たことがない。
結構NGな組み合わせなのかもしれない。
*
蛭子さんは誰かと会話しているのを見ていると、
相手がどういう返答を求めて会話しているのか、
ということが頭になさそうに見える。
自分の答えたいことだけ答えてしまっているような。
だからちょっと話の流れと違う角度からの言葉を発してしまっているように見える。
実は自分のそういうところがある。
きっと会話はピンポンのように互いのやり取りを弾ませるものなのではないか。
すると全く違う方向にボールを跳ね返してしまう蛭子さんとは
全然かみ合わないのだろう。
話の流れていく方向と、言葉のラリー。
会話とは難しいなぁ。
考えるとまた会話したくなくなる。