すごく向上心のある同級生がいる。
むずかしい本をとにかくたくさん読む。
そしてその話を沢山してくれる。
長広舌で独演会。口を挟むと嫌がる。
でも難しいのでわからない。
悩みは、周りが話を聞いてくれないこと。
むずかしすぎて、話の量が多すぎて伝わらない。
若干煙たがれている。
家庭でもこの調子でしっくり来ていないよう。
難しいことを学ぶことが信仰のようになっていて、
中毒になっている様子。
「素晴らしいもの」「すごいもの」を追い求める。
その価値に自己を投影し同一化しているようだ。
自分の中で孤高の空を飛んでいるみたい。
しかし飛んでいく高さや方向や方法。
どれもジタバタと不器用すぎて、危なっかしい。
向上心が強いというのは良いことだ。
しかし良いことほど依存しやすい。
だれも口を挟みにくいから。
その強さは、現状が肯定できていないという背景のせいかもしれない。
現在を受け入れていないからではないか、と言うと、
もっと上を目指したいという。
しかしもう中年になって、周りや自分をありのまま受け入れていけないというのは
ちょっとした不幸のように感じる。
向上心があったほうがいいと思うが、
それが急角度になるほど、不安定になるように見える。
緩やかな角度くらいの方が、現実と折り合いが付きやすいのではないか。
円満な人間には、もう何も足す必要はないのだから。