漢字の一を書く時、左に点を置き、右にひっぱり、また終点を置く。
その一連を「トン・シュー・トン」と言うらしい。
習字を習ったことがないからよく知らないけど。
書道のうまい人が文字を書いているとき、
半紙の上を走る筆の擦り音が聞こえる。
スッスッスッ、スー、スッスッ…。
これがリズミカルで、音楽的に聞こえたりする。
その音を立てるつもりで、適当なペンでいいからリズムを意識して書いてみると、
意識しないより、文字がまとまってきた気がした。
一画一画のもつリズムに忠実に筆を運ぶと自然とリズム感が出てきて、字形もよくなったように思える。
美文字系の文を読むと、案外このことには触れていない。
文字とリズムって深い関係だと思う。
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さらにそこで万年筆で書いてみる。
万年筆のインクは水で濡れているように見え、そこに色の濃淡が出る。
さらにペン先に弾力があるので、文字の太さに強弱が出る。
これで線にプロポーションがつけやすい。
筆圧が強い人も、柔らかいペン先に遠慮して丁度良い力加減になりそうだ。
これらの特徴のせいか、下手な文字でも万年筆で書くと味わいが出る。
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もし文字が汚いという人は万年筆で、リズムを感じながら書いてみてほしい。
これまでよりは、きっといい感じで書けるようになると思う。