小学校二年生のころ、テレビで漫才ブームが始まり、
世間への反抗心の塊のようなトンガッタ顔をした
ビートたけしの笑いが日本中を席巻した。
たけしの笑いは日本人の笑いの感覚を変えたと萩本欽一は言っていたと思う。それは確かだろう。そのブラックユーモアは「毒ガス」「毒舌」と言われ、視聴者は熱狂し、若者以下は真似した。特に悪意を持って他人をいじる笑いが解禁された感じだった。
そこに新しい感覚を持ち込んだ意義があったと思う。
しかし続き過ぎた。今なおネットやテレビでは他人を嗤う感覚のままだ。
だがそれも40年近く経ってようやく終わりが来た気がする。
もう他人の落ち度や容姿や欠点を嗤ってウケをとる時代ではなくなった。
毒舌の時代の終わりである。
新しい会話の時代がどのように始まるのかが楽しみでもある。
ネットを見れば他人をたたき、勝ち組はカネとセックスを追いかけるばかりに見える。もう少し人格や知性や教養が重んじられる時代が来るといい。