柴犬のメスの老犬を飼っている。16歳になった。
内臓が強いらしく、食欲も排泄も若い時とさほど変わらない。
しかしもうおむつを離せず、後ろ脚もなかなか立たず、床ずれも少しできている。
耳も眼も鼻も効かないらしく、何で知覚しているのかわからない。
ボケもあり、もうほとんど情緒も見せず、飼い主もわからないのかもしれない。
ぼんやりとした光の中で、音は遠く、頼りの鼻もおぼつかない。
なにを思っているのか、もう思っていないのか。
おむつから粗相することもあり、かつての可愛らしく俊敏で賢かったころを想い、家族で寂しさと途方に暮れる毎日。
それでいて昨日不調だった部分がなぜか今日軽快していたり、諦めと光明のないまぜになった不思議と静かな気持ちもある。
時折、心ここにあらずという風情するのだが、顔つきだけは昔とあまり変わりなく、こちらからするとうれしくもあり、却って痛ましくもあり。まだまだこのままでいてほしい。
犬から教わることは多い。
動物は口がきけない分、神様に近いのかなとふと思ったりする。
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犬の看取りがここまでとは思わなかった。
今飼い犬が元気な人も、これから飼う人も頭に入れておいた方がよいです。
大きな犬になれば、それだけ物理的負担は増えます。
犬が老いるころ、自分は何歳だろう、仕事をしてるか、家族は手伝ってくれるか、表で排泄する場所があるか、などなど。
考えた方がいい項目は多い。