(まだ春日氏の本は読んでない。動画で話してるのを少し観た。もう何本か観たら読みたい。)
描かれている時代は幕末くらいで、映画がつくられているのは60年代。
かつて根本敬が昔の日本映画を見ていると出てくる人が自意識が低いということを書いていたが、全くその通り。簡単に言うと、今ほど他人の目を気にしていない。縛られていない。もちろんフィクションだから直接的ではないけども、画面から感じるものがある。人の間の風通しが良い。
意外にも現代の我々が参考にすべきは昔の日本人なのかもしれない。
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それにしても座頭市のスカッとすること。勝新版の西部劇である。殺陣も舞の様に美しい。
盲目の一匹狼の按摩が、組織の大きさに甘えたヤクザや役人侍をバタバタ切り倒すのは、ご都合主義とは言え気持ちいい。
市は粗野で卑しく見えるが、一方で繊細で優しく、ユーモアにあふれ、常識をわきまえ、三味線や小唄が上手い(元々、勝新は三味線の天才少年)。だから女にモテる。特に繊細さを分かち合えるイイ女にモテる。
設定とは言えカッコいい。出来過ぎだけど、何故か引き込まれてしまう。今夜も見ようかな。
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そんな座頭市。今のテレビじゃ流せないほど差別用語の連発なので、多くの人が触れられないのは仕方がないけど、もったいない。この映画には我々と座頭市の彼我の差において、何か考えされられるものが詰まっている気がするのだ。