野良馬ヒンヒン

思いつきを記録しています。下らぬものです。

2000年代くらいまでは音楽CDは結構売れていたらしい。

 

自分が学生の頃はカラオケブームで、最新のトレンドは音楽と関わりが大きかったように思う。

 

そもそもレコードといのは、データを記録・送信するという通信技術でもあった。50年代くらいから、これが世界的に普及して、「世界的なヒット曲」というものが現れ始めた。ビンク・クロスビーのホワイトクリスマスや、エルビスや、映画の主題歌など。

 

レコード再生機が普及すると、最新技術に最新の音楽が載せられ、世界中に飛んで行った。ビートルズも、テクノも、そうやって広まっていった。

 

やがてビデオデッキも普及すると、個人で映像を見ることができるようになった。これも最新技術に最新の映像が載せられた。世界中の家庭でETが観られた。

 

オーディオとビジュアルで、AVだ。AV機器はさらに発展し、CDやDVDになった。映画も、PVも、デジタル再生で、デジタル画像で見ることができるようになった。まったく劣化しない。

 

最新の技術に載せるため、最新のアートや娯楽がその規格に合わせて制作される。そこには最新の技術だけでなく、それを動かすオペレーターや、それで表現をしたいアーティストや、それでお金儲けをしたい会社や、それらに興味を持った人たちからの注目が集まる。

 

日本ではカラオケブームが90年代に来た。最初はテープだったのが、ディスクになり、通信カラオケになった。こちらからリクエストすると、サーバーで受け付けたデータを送り返してくるようになった。双方向通信だ。これまでは一方的に与えられていた情報が、リクエストという応報型になった。

 

思えばカラオケボックスというのは、音と映像と双方向通信が一度に詰め込まれた最新スポットであり、大衆向けの技術の結集だった。その時代に音楽が売れまくったというのは、偶然ではないだろうと思う。

 

またベビーブーマーたちが20を迎え、経済にまだ余裕があった時代、バブルが終わったとはいえ、都会だけでなく、地方もカラオケボックスや居酒屋で、若い大衆なりに金を使いまくり遊びまくった時代でもあった。

 

ベビーブーマーも、おそらくレコード文化の隆盛も、通信技術の発達も、大戦終了とともに、大衆の時代がやってきたことと無関係ではなかろう)

 

やがてWIN95の発売。インターネットの普及。数年の間に、ネットの世界には音も、映像も、双方向にやり取りできる仕組みが広がった。

 

 

 

CDが売れなくなったのは、音楽がつまらなくなったからか。そうかもしれない。

 

最先端の娯楽商品は、もうネットの中にある。ゲームは映像も音楽もあり、当然双方向に通信しあっている。学生たちは、映像のアプリの中で、自作の映像をアップして、世界中に公開している。

 

通信技術の発展ベースに沿って、娯楽の幅が広がったのだろう。だから、音楽だけがいつまでも娯楽の王様でいられるわけがない。技術の発展とともに、再生音楽文化は数十年栄え、そして王座を譲ったのだ。

 

規格に合わせて、文化も娯楽も発展する。だから技術の発展とともに王座は巡る。

 

もはや音だけを楽しむのは古典芸能を楽しむのと同じになるのかもしれない。するとそれはさらに縮小していきそうだけど、僕はたぶん音楽を一番愛するだろう。