野良馬ヒンヒン

思いつきを記録しています。下らぬものです。

お通し問題。マナーも習慣も「不文律」 you,YABO!

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食事だけなら、その価格の中に席料も含まれた額で提供されてるのでしょうが、酒も飲む、となると自然と長居の客となります。そうすれば当然、長く占有している場所の分、支払わなくてはなりません。だから酒と共にお通しが出てきます。

 

店側からすると、席料だけ取るのも不粋だね、じゃあ、ちょっとした小鉢でもつけましょう、という粋な計らい。これがお通しだと思えば良いですよね。席料のおまけだから、気に入らないなら食べなくても良い。せっかくの粋な好意を断るわけだから、これは不粋な客だけど。

 

じゃあ「おまけ付き席料」と言えばよいかというと、それじゃ長いでしょ。縮めましょう。最初に目通されるものだから「お通し」としましょう。

 

粋じゃないですか。芸者代を花代と言い換え、便所を手を洗う場所、手洗いと、いちいち金がらみの不粋な事や、不浄な物を直接口にするのを避けて、比喩で表現する日本文化。素晴らしい。もうこの良さが分からない人が多いようですが。

 

これが外国人にはわからない。そりゃそうです。知らないのだから。でも説明すれば納得するでしょう。「テーブルチャージですよ、おまけがついてくるなんて、良心的でしょう」。

 

外国の人はわからなくて当たり前です。でもこれが気に入らないという日本人も多くて、コメントがお通し批判の嵐。行かなきゃいいのに。自分で選んで、行っておいて、後から文句垂れる。下衆で野暮。もう行かないほうがいいよ、お通しがあることはわかってるんだから。もう行かないよね? 大丈夫だよね? もう行かないよね?

 

今度はメニューに乗ってない、どこにも書いてない、不文律はやめろ、とくる。不文律を理解できない己の感性の低さに原因があるのかもしれない。それは棚に上げて。そもそも不文律って悪いことなの? ボクたちは、なんでも字で書いてないと分からない子なの? 

 

アメリカのPL法みたいに、なんでもかんでも書いてないといけないのか。

 

「不文律ガー」。いつもの「ガー」系のアレです。誰かが書いてたことに乗っかって、いい気分になって繰り返してるんでしょう。

 

そもそも、マナーや習慣、慣例、風俗というものは「不文律」です。不文律を否定するなら、それら社会文化の否定です。郷に入っては郷に従え。

 

そもそも居酒屋に来るような外国人観光客は、一般の生活文化を体験しに来るのでしょう。そういう物を求めてくるのです。郷に入りたくて来たのです。

 

しかしその国の固有の文化を学び、合わせる気がないなら、そこから去ったほうが幸せです。日本人であっても。もう出国しなさい。あなたたちが生まれる前からの習慣です。

 

するとお通しはまずいからいらない、という。そりゃどうせクリームコロッケや空揚げがごちそうの世代・年代からすれば、お通しに出てくるような酢のものだの、御浸しだのは、つまらないでしょう。

 

でも、旨いまずいの半分は、自分の舌の責任なんです。絶対的基準なんてないのだから。自分の舌が子供なのか、バカ舌なんではないですか? その可能性もありますよね。とっとと脂煮込みラーメン屋にでも移動した方がいいですよ。

 

せめて、お通しのない店を探し出してそこで飲みなさい。きっとほとんどないでしょう(それだけ定着した習慣ということです。もう文化ですね)。この店いやだいやだと言いながら、その店で飲まざるをえない人間は、口は達者でもその店のシステムに負けています。だいたいレストランやバーのテーブルチャージと比べたら格安だとおもいますよ。

 

それか道で飲みなさい。たまにいるでしょう。昼間から真っ赤な顔をして、川岸や道で座り込んで飲んでいる人たち。

 

あの人たちは、席料が払えないから、店に入らない。だから道で飲んでいるのです。同じことです。

 

すると今度は「お通しというシステムはー」と言い出す。「お通しのないチェーン店にー」。大資本のチェーンと個人経営なら、そりゃそもそも分が悪いでしょう。その差の根本原因がお通しだとは思えません。そう思いたいらしいけど。

 

じゃあお通しのないチェーン店にどんどん行ってください。こっちは消費者様だから、どんどんサービスしやがれと。それなら大好きなワタミ系でも行ってください。どうぞどうぞ。行って、ブラック経営者とブラックカスタマーで、現場の人間たちを締め上げなさい。それがしたいんでしょ。どんどん競争させたいんでしょ。やればいい。これが上品で頭のいい、知的なモテモテの大人の行為だ。こりゃ。

 

ブラック企業を批判するくせに、自分はブラック客であることに気が付いていない。ブラック社会の一員であることが分からないのでしょう。ビジネスモデルガー。何も経営したこともないくせに。

 

そんなにキレるセンスと頭なら、自分で200万くらい作って居ぬきで、お通しのない飲食店でも経営し始めてみたらどうでしょうか。あなたならできるでしょう。小さい居ぬきならそれくらいのお金からできますよ。200万もない? 作れない? 借りられない? 甲斐性がないですね。そんなんじゃ、まあ、何やってもダメでしょうね。じゃあ、使われて、文句を言いながら、一生、気にくわないお通し食べるしかないですね。

 

今年は「ゲス・下衆」という言葉が流行ったので、来年はぜひ「野暮」という言葉が流行ると良いですね。意識が高い先進的な人たちの脳みそは流行語にすぐ飛びつくでしょう。「ほぼほぼ」とか得意顔で使ってたクチじゃないですか?  

 

いやもしかして、外国人がきちんとそのシステムを理解したら「OTOSHI、サイコー!」とか言って流行り始めるんじゃないか。生食とか枝豆みたいに、日本の飲食文化として、高評価されるかもしれない。格安のテーブルチャージに、おまけもついてくる! 素晴らしいおもてなし! 「OTOSHI、嫌いですか? you,YABO!」。そのとき手の平を返すのかねー。

 

倫理的消費、という言葉があるそうです。いろんな意味合いがあるようだけど、消費者も己の益だけでなく、社会全体の益のためにも、消費の仕方を考えよう、というものです。つまり、持ちつもたれつ、共存共栄。そういう世事も覚えましょう。