半月くらい前に「コヴェナント/約束の救出」という映画を見た。休日に時間が空いたのでなんとなく映画館に行ってみた。
2018年のアフガニスタンが部隊。タリバンがゲリラ化して潜んでいる中、米軍キャンプでは現地人の通訳兼案内役コーディネーターを雇い入れている。
米軍に雇われる通訳というのは、なかなか難しい立場になる。タリバンからは完全な裏切り者だし、現地の市民からも異教徒への協力者と見なされるし、米軍からもスパイかもしれないと半信半疑の扱いをされる。
しかしながらアメリカへ渡れるヴィザがもらえるという約束で通訳を買って出た人たちが数千人という単位でいたらしい。
タリバンの武器倉庫を掃討する作戦部隊にも、あたらしい通訳のアーメッドが雇われた。しかしその作戦中、ほとんどのアメリカ軍兵士は討たれる。アーメッドと隊長(曹長?)の二人だけが辛うじて生き延び、砂漠化した山を越え安全地帯まで逃げようとする。
荒れ地にて、追うタリバンと延々と続く攻防の中、隊長は銃撃を受け瀕死の状態になる。よって米軍キャンプの方角に向けて、アーメッド一人で隊長を運んでいくというハードな道のり。息の詰まるような緊張が続く。
続きは映画館で見られたしと思う。始まって間もなくから続く張り詰めるような展開に少し後悔したが、映画が終わった後の見応えは素晴らしかった。
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ところでこの映画が始まってすぐにアメリカ(というグループ名)の「名前のない馬」という1971年ころのヒット曲が流れる。
なぜ穏やかな曲調で、年代的にもズレいてるこの曲なのかなと思ったけれど、帰って歌詞を検索したら謎が解けたような気がする。
歌詞の内容は
「俺は名前のない馬に乗って砂漠を旅する」
という独白調のものだった。
映画と近い内容だ。
「名前のない馬」というのは、その存在が広く知られることもなかった現地人通訳たちという存在だったり、この部隊のアーメッド当人をアンサングヒーローとしてたとえる暗喩だろう。
ただちょっと待てよ…アメリカ軍人はほぼ現地通訳人に助けられていて、「俺は」といえるほど主体的に旅をしただろうか…と考えると皮肉である。
アフガンの現地人通訳たちの多くは実際にアメリカのヴィザはもらえずに、数百人の通訳とその家族がタリバンに殺されたという。
そしてそれを歌っているグループの名前は、これまた皮肉にも「アメリカ」なのである。
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アメリカというグループはロンドンの米軍居留地のアメリカンスクールに通う、米空軍の子弟が三人集まったグループだというのも、なんだか不思議な偶然に思える。
アメリカ (バンド)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB_(%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89)