浅草を中心に長らく漫才師として活躍された あしたひろしさん が死去されました。老衰でした。
10年位前ごろは、浅草の寄席に行くとイロモノ枠で、あした順子ひろしか、にゃんこ金魚が、かならずというくらい出てきて、笑いをさらっていた。
とくに順子ひろしは、穏やかでいて、たのしくて、爆笑につぐ爆笑。大好きでした。90近くまで芸人として舞台に上がり、話芸として感心させるのではなく、「お笑い芸人」として爆笑をとり続けた人は、すくなくとも近年にはこの人しかいないでしょう。
芸能界の大物にもファンが多く、浅草の後輩であるビートたけしもそうであったという。今週のナイツのちゃきちゃき大放送でも、ナイツが絶賛していました。
ナイツがマセキ芸能から浅草に送り込まれて、浅草に興味も持てないままだったのが、順子ひろしの漫才を見て、これだ、と思ってから浅草系漫才にのめり込んだという。順子ひろしの漫才を研究して真似て、自分たちのスタイルを作り上げたそうです。
順子ひろしは漫才の終盤、突然順子が「♪男は~あんた、ひろし~」と歌い出し、二人で真顔でひょこひょことダンスをして、もうひとくだり笑わせて、最後にひろしのあたまをパーン、とはたいて終わる。その最後にやはり真顔で、そろって一旦客席をみて、ゆっくり一礼します。その瞬間がすこぐおかしくて、大好きでした。ここが笑いの基本なんだと思うのですが、本人たちは、真顔、まじめ。それをみて客席は笑う。自分たちでゲラゲラ笑いながらすすめる芸は、なんか下品だと感じる。東京の品のいい漫才の巨星でした。飄々とした素敵なおじいさんに見えました。
それにしてもナイツのラジオの上手さ。とくに奔放な塙を抑え、アナウンサーと芸人の中間くらいのテンションで、破綻なく進行とツッコミをし続ける、土屋の巧みさ。ナイツの芯は土屋かもしれない。