野良馬ヒンヒン

思いつきを記録しています。下らぬものです。

柳家金語楼が気になる。妻吉も。

清水ミチコの話を聴いていたら、お母さんは森繁の駅前シリーズなどの喜劇映画が好きだったらしい。これは井伏鱒二の駅前旅館を原作とした60年代のヒットシリーズだ。

 

駅前シリーズは「駅前温泉」を見たことがある。森繁に伴淳三郎 フランキー堺 淡島千景 司葉子 三木のり平 淡路恵子 池内淳子とオールスター出演の豪華な内容。ドタバタコメディだけでなく、開発されていく喜びにあふれた磐梯や旅芸人の親子のエピソードなど、深い話も紛れていてとてもいい映画だった。

 

その中で印象的なのは大浴場の「三助コンクール」で踊る柳家金語楼のおかしさだった。見ているだけで噴出してしまう。

 

この人がどういう人だったのか、今はあまり話に上ることもないので調べてみると、結構興味深い。

 

父親も落語家で、本人も天才少年落語家としてデビュー。父親が旅回りの一座を率いて全国を回るのについて行く。その時に妻吉という両手のない元芸者と知り合う。

 

この妻吉という人も今はあまり知られていないけれど、なかなか凄い人である。大阪で堀江六人斬りという刃傷沙汰があった。妻吉の養父でもある芸者置き屋の主人がとち狂い日本刀で愛人の芸者らを殺傷した。その被害者の一人だ。両腕を切断され口の中に刀の切っ先を挿し込まれたが、たった一人生き残った。そしてその養父の死刑執行後の遺体を引き取り墓を立て埋葬までした。その後、口で書を書き、書家・仏門で住職ともなった大石順教という著名人になるが、この人を金語楼少年は姉のようにしたい終生仲良くしていたという。妻吉に字を教えたのも金語楼だったらしい。

 

その後成長し徴兵。除隊後は兵隊落語をヒットさせ、喜劇にも進出。落語芸術協会の前身も立ち上げたが、噺家は他の仕事はできないルールがあったらしく(!)、警察庁噺家の資格を返上している。

 

その後は映画でも大活躍、顔や動きの面白さで笑わせる芸風だったが、落語で鍛えた語り口は柔らかく、残っている映像でも独特の魅力を持っている。