下戸である。
なので飲み会とはあまり縁がない。
若いころは下戸なのが悔しく、飲み歩くことに憧れた。
じっくりゆっくりと飲み、友と語らう。
きっと普段よりも深い話や、本音を話し合うのだろう…素晴らしいコミュニケーションだ、と思ったものだ。
しかしそれが良いのはある程度若い時分の話。
まだ青春の悩みを引きずってるくらいが、生活感が薄く罪が無い。
ほんの時折よばれる酒の席で見るオジサンたちが
酔っ払って話す本音や、深い事情なんてものは、
どうにもならないような生臭い話ばかり。
話して聞いて、素晴らしいというものでもない。
酔って語ったところで、アクセルが過ぎ、言葉が暴走したり、
同じ話を繰り返したり、挙句の果てには忘れてしまうという顛末。
茶飲み話くらいがいい。
そこでちょっと理性を利かせながら、すこし本音を忍ばせるくらいがいい、
と思えるようになってきた。
今でも、ひとりで良さげな小料理屋や居酒屋を飲み歩いて巡りたいという憧れはあるが、それは一人の時間と共に街中のまあまあの酒肴を味わえたらいいな、という形である。