図書館に行ったらキャロル・キングの自伝があった。
分厚いけどなんとなく借りてきた。
おもしろい。
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キャロル・キングの特にファンというわけではない。
ライブ・アルバムを持っていて、つづれ織りという有名なアルバムは友達に借りて聴いた。どちらも大好きというほどでもなく、いい曲もあるねくらいだった。
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なんとなく読んでいると、実に面白い本だ。すらすら入ってくる。
文章がうまいのか、翻訳が上手なのか、両方か。
もしかして補佐のライターでもいたのかなんて失礼なことを思うほど。
冒頭の現在のコンサート開始前の内幕の面白さに惹きつけられ、
時代をさかのぼり産まれてからの話になる。
特にファンではないせいか、初めて知った話ばかり。
以下ネタバレ多し。
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父親は消防士。母親も働いていた。
ポーランド系移民の二代目で元演劇指向だった両親の下で育つが
障害のある弟とは離れて暮らす。
両親はくっついたり離れたり、少し複雑な境遇。
年上の同級生たちの中で
少し孤独を感じながら過ごした学生時代。
R&RとR&Bが沢山かかるアラン・フリードのラジオが大好きだった。
本人も演劇を目指したが挫折。
こちらも大好きだった音楽で芽を出す。
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15歳で音楽出版社に持ち込みを開始。
二軒目でレコード化に成功。
大学に進むが、ジェリー・ゴフィンと出会い、意気投合。
10代で結婚、二人の子持ちとなり職業作曲家兼主婦となる。
以降も若いのにすごいことばかりが起きて、ジェットコースターのような人生。
これ以上は本を読んでください。
音楽を知ら無くても、アメリカの青春小説のような趣もあり、
60年代を舞台にした才能ある少女の冒険譚のようでもある。
いい加減なものも多いミュージシャンのこの手の本としては名作なのではないか。
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キャロル・キングはなんとなく大人向けのウェルメイドミュージックという印象だったけど、本人もそもそも表に立つシンガーになろうという気持ちは微塵もなかったらしいくらい、穏やかで謙虚な人柄のよう。
どちらかというと、主婦であり、母親でありたいという当時の一般的な女性像に近いと思う。
夫のジェリーが、60年代のフラワームーブメントに浮つき始めても、まずは家庭人であろうとした彼女(20歳そこそこなのに!)は、ディランやビートルズの音楽性には関心を持っても、「精神の解放」のような大仰なスローガンには無関心だった。大人ですね。それでいて職人気質の職業人でもあるという真面目な両面性もまた魅力だ。
そしてさらになぜかスーパースターの方向に転がって行ってしまうキャロル。
ヒッピーブームがすこし落ち着いた70年代に、この人の個人に光が当たり始めるというのも象徴的な話。
読んだのはまだここまで。
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キャロルの歌で一番好きな曲はこれ イベンチュアリー
昔買ったライブアルバムはこれだった。1971カーネギーホール。
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他人の人生を読むというのは面白い。
お気に入りのブログを読むのもどこか似ている。