居酒屋で一人飲みしてると、こちらと同じくらいの年恰好の二人連れが、先客でいる。テレビは「はじめてのおつかい」を流している。小学校一年生くらいの子供たちが、はじめてのおつかいに奮闘している。
その様子をマスターと客三人で、合計四人の中年男が、眺めている。なんとも愛らしい様子に、みなでニコニコ見ている。
皆、無垢なるものが大好きだ。
初めは、自分自身がそうであった。それをふりまいて、周りを幸せにしていた。
己の無垢が薄れるころになると、強い友情関係や、恋愛関係にそれを求める。
そしてそれは結婚生活になり、我が子に求める。
我が子が巣立てば、ペットに求め、孫ができれば、孫に求める。
無垢なるものは、健康な心のガソリンだ。
しかしそれは自分の中から無くなったものを、外部に求める旅のようなものだ。永遠に外に向けて、探し続けなくてはならない、結構しんどいものだ。