日本ではあまり知られていない凄腕のミュージシャンというのは居りますな。
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ドアーズというバンドはベースレスで、その分オルガンの低音域でカバーしていたらしく、なんとなく捉えどころのないサウンドでもあった。しかしかえって、それがサイケデリックで不思議なバンドイメージとも相まって効果があった。
そこに助っ人ベーシストとして呼ばれたのが、エルビスプレスリーともセッション経験のあったジェリー・シェフ。どうもそもそもクラシック出身で、当時あんまりロックに興味がなかったらしく、エルビスにも直接会うまでピンとこなかったような人だそうです。しかしなかなかどうして、かなりグルービーなベースでかっこいい。
エルビスのバンドには、エルビスの死までパーマネントに参加していたようですが、このライブ盤がカッコいい。ファンキーでどこまでも上り詰めるベースラインとエルビスのゴスペル的なボーカル。70'sのエルビス最高!
サスピシャスマインドたまらん、たまらん!
みんなもっとこのころのエルビス聴いてくれ!
多分、江藤勲氏や寺川正興氏(昭和歌謡のベースの巨匠たち)とかシェフの影響受けてるだろうなぁ、なんとなく似てる。
一本の弦をブリブリと上下するエレベーター奏法(?)とか。
それを分かりやすく弾いて再現して見せているのが以下の動画。
この人はジェリーシェフの大ファンらしく、この曲のバージョン違いだけで何本も動画を上げている。あー、もうたまらん。
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それ以外にもベット・ミドラー、ボブ・ディラン、トッド・ラングレンなどビッグネームとも絡みますが、80年代にこの人を気に入ってパーマネントな仕事をしていたのが、同じエルビスでも、イギリスのコステロさんの方でした。
コステロは自分のバンド、アトラクションズと一時期離れて、アルバム毎に単発の別バンドをアメリカで組んだりしていました。キングオブアメリカというアルバムでは、ジェリー・シェフも含めてエルビス・プレスリーバンドのメンバーが多く参加しています。ジェームス・バートンも!
ここではそんなにゴリゴリした演奏というよりも、しっとりした円熟味のあるベースが聴けるようです。このアルバム自体も名盤です。すばらしい。
http://www.elviscostello.info/wiki/index.php/Jerry_Scheff
これはシェフがコステロで演奏したリストです。すごいサイトです。
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ジェリーの息子さんもベーシストのようで、シカゴに一時参加していました。
ピーター・セテラの抜けた後をベースとボーカルで参加。重責ですが、最近まで勤め上げました。えらいねぇ。
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そしてこれがご本人の映像! ベースメーカーのレイクランドのイベントでドアーズのLAウーマンを弾いてますが、圧巻!
ボーカルの人もうまいですね。体がでかくてビビりますが、このボーカルとベースがいれば、観に行きたいよ!
お次は三年前の映像。もうおじいちゃんだけど、ベースは剛腕だ!
日本では、個人のカリスマ性のあるミュージシャンが評価が高いですが、こういう人もいっぱいいるアメリカンの音楽の世界は、深く広いですな。それにしてもすごいよ、どドアーズ、プレスリー、コステロですからね…。こういう人が日本のファンに広く知られず退いて行くのは寂しいものです。
まだまだ面白い音楽が見つかりますように。